フィットネスコラム

からだの中からフィットネス

河村 玲子

パーソナルダイエティシャントレーナー。 「からだ作りを、管理栄養士として食事の面からも、トレーナー(NESTA-PFT 保有)として運動の面からもサポートする」をコンセプトに活動中。メディアへの執筆やセミナー講師、栄養カウンセリング、トレーニング指導などを行っている。 JAFA機関誌『ヘルスネットワーク』で、2014年10月号より半年にわたり「フィットネス指導者のためのセルフケア~栄養・食事編~」を連載。

アンチエイジングと水素

更新日:2015年 09月 24日
by からだの中からフィットネス

「アンチエイジング」。フィットネス愛好家の皆さんなら、おそらく誰もが興味のあるキーワードでしょう。エイジング(老化)は、糖化や遺伝子の異常などさまざまな要因が重なって進みますが、ここ数年注目を浴びているのが「活性酸素」です。今回は活性酸素と、期待の抗酸化成分「水素」について執筆します。

 

■活性酸素は「老化」の一因?

私たち人間は、栄養素からエネルギーを取り出す過程で酸素を使います。一部の酸素は、その過程で「活性酸素」と呼ばれる物質に変化します。一口に活性酸素といっても、大きく4種類あります。これらは通常の状態でもいくらかは発生するため、体にはそれを除去するシステムが備わっています。

その能力を超えるほどの活性酸素が発生した場合に、脂質やたんぱく質、核酸(DNA)が攻撃を受け、細胞や遺伝子が傷つくことが「老化」の一因になります。しかし、活性酸素の中には、ウィルスや細菌などを攻撃して体を守ったり、細胞の分化を調節したり、体にとって必要な役割も果たすものもあります。

 

■運動で活性酸素が多く発生する?

運動をすると酸素をたくさん取り込む分、確かに活性酸素は安静時よりもたくさん発生します。しかし、運動により活性酸素を除去する機能が高まるため、運動が老化を促進する可能性は低いでしょう。それよりも、紫外線や肥満、タバコ、日常のストレスなどが加わることによって起こる、活性酸素の増加こそが問題です。

 

■新たな抗酸化物質「水素」の可能性

歳を重ねるにつれて老化が進むことは当然とはいえ、できることなら若々しく、健康に過ごしたいものです。酸化を抑える代表的な栄養素には、ビタミンA・C・E、ポリフェノール類などがあります。

そして、近年注目が集まっているのは何と言っても「水素」でしょう。水素は、酸素と反応し水を作ることができます。この機能を利用して、活性酸素を無害な水にして除去するという理屈が水素に期待される効果です。ただし、現段階では口から摂取した水素が体内で活性酸素をどの程度除去し、どのようにどこで機能するのか、もし機能するとすればどのくらいの量を摂取すればよいのかなどについては、解明されていません。したがって、水素がアンチエイジングや、病気の予防や健康維持に効果があるかないかを現段階で結論づけることは誰にもできません。

水素は分子が大変小さく、油にも水にも溶けるため、薬が届きにくい体の部位にまで届く可能性があります。そのため、水素は病気の予防や治療の手段として活用できるのではないかと、医学界でも研究が進められています。発表されている論文の中には、糖尿病の病態改善、二日酔いの抑制、アンチエイジングに効果があったというものもあります。

水素に何らかの効果が本当にあるのか、もしあるとすればどのようなもので、どのように摂取すればよいのか、今後の研究が待たれます。

 

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水素は非常に小さい分子のため、ペットボトルをすり抜けます。水素水を飲む場合はアルミの容器で保管すると同時に、早めに飲みきりましょう。

※水素水に何かの効果があるかは、現段階では不明です。

 

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連載「からだの中からフィットネス」は、本回で最終回です。次回シリーズもご期待ください。

筋量アップにクレアチンは有効?

更新日:2015年 09月 07日
by からだの中からフィットネス

プロアスリートの中では言わずと知れた「クレアチン」は、運動能力に対するある種の効果がエビデンスとして蓄積されている、数少ないサプリメントのひとつです。今回は「クレアチン」の働きとそのメカニズム、摂取方法について解説します。

 

■「クレアチン」とは?

クレアチンはアミノ酸の一種で、体内でも1日2gほど合成されています。体内のクレアチンの95%は、筋肉にリン酸と結合した「クレアチンリン酸」という形で蓄えられています。クレアチンサプリメントを摂取することで期待できる効果には

 

1.高強度の運動、特に短期間での激しい運動を繰り返すような運動におけるパフォーマンスの向上(例えばタバタプロトコルを利用した運動や、高負荷での筋力トレーニング)※有酸素運動能力向上の効果はないようです。

2.1のようなトレーニングを実施する際の、回復力の向上

3.体重増加(中長期的に見ると筋肉量)

 

の3つが挙げられます。

 

■クレアチンの働き方

クレアチンが作用するメカニズムは大きく3つあります。

 

1.筋収縮に必要な「ATP」という物質をすばやく再生することで、エネルギー供給をスムーズに行う。

2.運動中に生じる酸性物質(水素イオンや乳酸)を緩衝したり合成しにくくしたりすることで、疲労の原因とも言える筋肉が酸性に傾くことを防ぐ。

3.筋肉中に水分を貯留する。

 

このほかに、メカニズムは定かではありませんが、クレアチン自体にたんぱく質の合成を高め、分解を抑制する効果があるようです。また、トレーニングの質が向上するので、間接的な効果として筋量の増加が期待できます。

 

■クレアチンの摂取方法

1回5gを1日4回に分けて6日間摂取することで、筋肉に蓄えられる量の上限に近づきます。この方法でお腹が緩くなったり、体調に変化を来たす場合は、1日3gを28日間にわたり摂取することで、同様の結果に導くことも可能です。

また、糖類とともに摂取すると、インシュリンがクレアチンを筋肉に運び入れる手助けをするので、効率よく筋肉に蓄積することができます。一度上限量に達した後は、1日2~3gを目安に補給すれば、その状態をキープできます。

なお、クレアチンの効果を体感できるのは、もともとの蓄積量より一定量(20mmol/kg d.w)以上増加した場合といわれています。普段の運動量や遺伝的な要因、食事などによっては、元々多くのクレアチンを筋に蓄えている、もしくは蓄積しにくい等の理由から効果を感じられない人が約30%いるようです。

安全性については、健康な人が適量を摂取する場合には健康障害のリスクは比較的低いとされています。しかし、腎臓や肝臓に影響を与えうる成分なので、大量摂取は控え、もし病気(特に腎疾患、肝疾患、糖尿病)やその他の懸念事項がある場合は、必ず専門の医師に相談をしてから摂取しましょう。

 

 

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クレアチンは魚や赤身肉に多く含まれます。

たんぱく質を摂りすぎていませんか?

更新日:2015年 08月 25日
by からだの中からフィットネス

たんぱく質を表す英語「protein;プロテイン」は、ギリシャ語のプロテウス(第一の)が語源であり、大切な栄養素です。しかし、フィットネスシーンにおいては、たんぱく質を摂れば筋肉がつくと考えられる傾向が少なからずあり、もしかすると必要以上に摂っている方がいるかもしれません。ここで、改めてたんぱく質について見直しましょう。

 

■たんぱく質の必要量

どの栄養素をどれだけとればよいかという国の指針に「日本人の食事摂取基準」があります。これによると、特別な管理を必要としない健康な成人(※)は、体重1kgあたり0.9gのたんぱく質を摂取すれば、ほとんどの人が1日に必要な量を満たせるとあります。また、ACSM(アメリカスポーツ医学会)のガイドラインでは、ハードなトレーニングを積むアスリートであっても、体重1kgあたり2gを、必要な量の上限目安としています。

現在日本では、男性は1日約75g、女性は約60gのたんぱく質を摂取しており、多くの人が1日に必要な量を満たしていることになります。つまり、特別な食事をしなくても、通常の食事から必要な量のたんぱく質を確保することは十分に可能と言えます。

通常の食事に加えてプロテインを飲んだり、たんぱく質が豊富な食品ばかりを摂っていたりする方は、もしかするとたんぱく質の摂取過剰かもしれません。

※:妊産婦や授乳婦、疾病があるものを除く18~69歳の男女

 

■たんぱく質を摂りすぎると腎機能が低下する?

では、たんぱく質を取りすぎるとどのような事が起こりうるのでしょうか? よく言われることの一つに「たんぱく質を摂りすぎると腎臓を悪くする」があります。確かに、たんぱく質摂取量を増やした初期には、腎機能を表す検査数値が変化することがあります。しかし、中期的にみると、腎機能へ与える影響はほとんどないようです。

それよりも、たんぱく質を多く含む食品は同時に脂質も含むこと、たんぱく質自体もエネルギーをもつ栄養素であることから、エネルギーの摂取過剰になったり、他の栄養素とのバランスが崩れたりする可能性があります。長期間にわたり過剰なたんぱく質を摂取すれば、骨量の低下や糖尿病、心血管疾患になるリスクの増大なども懸念されます。

国では、たんぱく質の摂取量の上限を設けてはいませんが、エネルギー比率が20%を超えた場合の安全性は確認できないとして、注意を呼びかけています。

 

たんぱく質は栄養素の一種ですから、その他の栄養素とのバランスこそが、良い体を作る上で重要です。たんぱく質ばかりでなく、トレーニングの質を上げる糖質や、ホルモンの合成にも必要な脂質等の栄養素にも目を向けるようにしましょう。

 

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体作りには、たんぱく質ばかりではなく、栄養のバランスが重要です。

茶色い食べ物は太りにくい?

更新日:2015年 08月 06日
by からだの中からフィットネス

白米よりも玄米、食パンより全粒粉のパンというように、精製されていない糖質(茶色い食べ物)は太りにくいと言われます。その主な理由として、GI(グリセミックインデックス)が低いことが挙げられます。今回はGIの観点から“茶色い糖質”に迫ります。

 

■血糖値とインスリン

食べ物に含まれる糖質のほとんどは、消化されてブドウ糖になった後、腸から吸収されて血液に取り込まれます。血液100mlのなかに入っているブドウ糖の量を「血糖値」と言いますが、血糖値は通常ある一定のレベルに保たれるようコントロールされています

食後には、食事由来の糖が増えるために血糖値は高くなります。血糖値が上がると、その上昇の度合いに応じた量の「インスリン」というホルモンが分泌されます。インスリンは筋肉や脂肪、内臓などの組織に糖を運び入れるトラックのような役割をして、血糖値を再び元のレベルまで下げます。

 

■インスリンは肥満ホルモン?

 

インスリンは、時に「肥満ホルモン」と呼ばれ、ダイエットの敵のように扱われます。この背景には、インスリンの脂肪組織で脂肪酸の合成を促す働きが、過剰に考えられているからです。

インスリンには、筋肉ではたんぱく質の合成を促し、各組織ではエネルギーの代謝を促進する働きもありますから、インスリンが肥満ホルモンであるならば、筋肉合成ホルモン、代謝促進ホルモンでもあります

 

■GI(グリセミックインデックス)とダイエット

ある食べ物が、どれだけ血糖値を上げるかをあらわす指標がGIです。消化に時間がかからず、糖がスムーズに吸収される食品は、血糖値が急激に上昇するためGI値の高い食品といえます。

つまり

GIが高い食品を摂る

 →急激に上昇した血糖値を下げるために多くのインスリンが分泌されて、脂肪の合成が高まる。

GIが低い食品を摂る

 →食べ物は徐々に血液中に取り込まれるため、血糖値が高い状態が続き、空腹感を感じにくくなる。

となります。

以上の理由から、GIの低い茶色い糖質はインスリンの過剰な分泌を防ぎ、空腹になりにくいので太りにくいとされるようですが、低GI食品の体重減少に対する効果は、いまのところ明らかになっていません。茶色い糖質を太らないと思い込んで、食べすぎれば太る原因になります

ただし、茶色い糖質は胚芽と呼ばれる部分を含み、食物繊維や各種ビタミンミネラル、フィトケミカルなど好ましい成分を多く含みます。それ自体にやせる効果は期待できずなくても、かむ回数が増えることで満腹になりやすかったり、栄養バランスが整うことで、嬉しい効果がでるかもしれませんね。

 

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普段の主食の量は変えず、茶色い食品に置き換えるのはおすすめです。

糖質制限ダイエットの効果~糖質についての豆知識~

更新日:2015年 07月 23日
by からだの中からフィットネス

近年流行のダイエット法のなかでも人気なのが、炭水化物など糖質の摂取を制限する「糖質制限ダイエット」。もともとは、糖尿病患者への減量治療の選択肢として始まった方法ですが、現在は健康な方でもたくさんの方が実践しています。そもそも糖質とは、体の中ではどのような位置づけで、それを制限することでどのような影響を及ぼすのでしょうか?

 

■糖質は必須の栄養素ではない!?

糖質は、人間が生きていくうえで必ず摂取しなければならない「栄養素」の一つですが、その他の栄養素である脂肪やたんぱく質とは大きく異なる点があります。それは、脂肪には「必須脂肪酸」、たんぱく質には「必須アミノ酸」という、人間が体の中では合成できないため必ず食品から摂取しなくてはいけない成分が含まれるのに対し、糖質にはそのような成分はなく、体の中でほかの栄養素から合成することが可能だということです。では体の中で合成可能であれば、糖質は必要ないのでしょうか?

 

■糖質が不足すると、酸っぱい体臭がすることも…

体の中で合成可能な糖質が「栄養素」であるのは、それなりの理由があります。糖質が不足した状態で脂質やたんぱく質からエネルギーを作り出す過程では、副産物としてケトン体やアンモニアが作られます。これらは時に有毒であり、代謝が追いつかずに一定量を超えて体に溜まってしまうと、体に悪影響が及んだり、酸っぱい体臭がするようになったりすることがあります。これらを無毒化したり代謝するために、臓器には余計な負担がかかります

 

■糖質は脳と赤血球の大切なエネルギー源

脳と赤血球は、原則的には糖質のみをエネルギー源として使用します。しかし糖質が不足すると、脂質やたんぱく質から糖を作ったり、ケトン体を脳のエネルギー源にしたりします。その場合、糖質をそのまま利用する時よりも、余分な過程が必要となります。

 

■上手な糖質制限の方法

糖質は、他の栄養素よりもスムーズかつ迅速にエネルギーになるという特徴があるものの、代替できる栄養素があるため、健康な人が糖質を摂らなかったとしても、すぐに健康を害すことはありません。しかし、10年、20年と長期にわたっても大丈夫かどうかは、今のところ明確になっていません

糖質制限は、1日のエネルギーのうち半分以上を糖質から摂っている日本人にとっては、方法がシンプルで、体重減少効果が得やすいダイエット方法です。そこで、実践のポイントを2点紹介します。

 

<糖質制限ダイエットのポイント>

・食事以外からの糖質(菓子類、清涼飲料水、野菜ジュース、加糖ヨーグルトなど)を優先的に制限する。

・1食あたり、おにぎり1個分(ご飯茶碗半分程度)の主食は摂取する(腹持ちがよく、食べすぎを防ぐ効果もあるため)。

 

なお、糖質制限と脂質制限の減量効果を比較すると、短期的には糖質制限のほうが高いものの、中長期になると差はほとんどないようです。健康に影響のない範囲で、自分にあった方法を選択しましょう。

 

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1食あたり、おにぎり1個分(ご飯茶碗半分程度)の主食を摂取するようにしましょう。

疲れを溜めないために

更新日:2015年 07月 07日
by からだの中からフィットネス

7月になり、梅雨明けが待ち遠しくなりましたね。梅雨から蒸し暑い夏へと気候が変わるこの時期は、疲れが溜まりやすく、体調も崩しやすくなります。疲れを溜めないために、栄養面ではどのようなことに気をつければよいでしょうか?

 

■疲れの原因は?

夏は、暑さに負けて食欲が減退したり、冷たいものばかり好んで食べたりすることで、エネルギーが不足したり、栄養のバランスが偏りやすくなります。

例えば、冷たくて喉越しの良いそうめんや冷麦などの麺類は、糖質を多く含みますが、効率のよいエネルギー源である脂質や、身体を作るタンパク質、そしてそれらを代謝してエネルギーや身体を作る材料にするために必要なビタミン類はほとんど期待できません。また、サイドメニューの定番である生野菜サラダは、洗浄の過程で切り口からビタミン類が失われたり、見かけの割に重量が少なかったりと、効率のよいビタミン補給源とは言えません。

身体を動かしたり回復させたりする燃料になるエネルギー自体の不足はもちろん、せっかくエネルギーになる栄養素をとっていても、それをエネルギーに作り替えるのに必要なビタミン類が不足することは疲れが溜まる原因になります。

 

■疲労を溜めないために大切な2つのこと

一つ目は、エネルギー源を必要十分量確保することです。どうしても食欲がわかない時は、ゼリー飲料やバータイプの栄養補助食品でも構いませんからエネルギー源を絶たないようにしましょう。

二つ目は、食べた物からエネルギーを取り出したり、利用したりするために必要なビタミン類を確保することです。ビタミン類の必要量は活動量の増加に伴って増します。活動量が多い方は気をつけて摂っているつもりでも、13種類もあるビタミンを全て充足させられているとは限りません。

緑黄色野菜や精製されていない食品を選ぶなど、食事に目を向けることはもちろんですが、時には全てのビタミンが合わさったマルチビタミンサプリメントを活用するのも一つの方法です。

なお、ビタミンのサプリメントを摂取する場合は、1日分を2~3回に分けて、食事とともに摂るのがお勧めです。

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ビタミン系サプリは1日2~3回に分けて、食事とともに摂取すると効果的です。

食後の中性脂肪、血糖値の上昇を抑制する"トクホ"

更新日:2015年 06月 23日
by からだの中からフィットネス

最近、「食後の中性脂肪の吸収を穏やかにする」「食後の血糖値の上昇を抑える」などの表示がある特定保健用食品(以下トクホ)が続々と発売されています。トクホは、国が個別に「特定の効果がある」と認めた食品ですから、目的に応じて正しく使うことで、その効果を期待できます。

今回はその中でも人気の、脂肪や血糖値に作用する「難消化性デキストリン」について解説します。

 

■糖や中性脂肪の吸収を穏やかにする

コーラやお茶などに使用される、糖や中性脂肪の吸収を穏やかにする成分は「難消化性デキストリン」です。これは食物繊維の一種で、とうもろこしやじゃがいもなどのでんぷんを加工して作られます。古くから食品添加物としても使用されている安全性の高い成分です。

難消化性デキストリンは、食物繊維の中でも水に溶ける性質を持つ水溶性の食物繊維です。一般に水溶性食物繊維は、食品や飲料の水分に粘性をつけてドロドロにすることで、胃での滞留時間を長くしたり、小腸で糖や脂肪が素早く吸収されるのを防いだりします。つまり、難消化性デキストリンは小腸から糖が吸収される際に、消化吸収の過程を邪魔したり、脂肪が分解されてできた脂肪酸を直接小腸に触れにくくしたりすることで、吸収を穏やかにする作用があるとされます。

 

■生活習慣を見直したうえで、食事と一緒に摂取

「血糖値や中性脂肪値が上昇しにくい」と聞くと、つい「糖や脂肪が吸収されない」と勘違いしがちです。ですが、食後の中性脂肪や血糖値の上昇が抑制されるのは、糖や脂質の吸収スピードが穏やかになるということが主な理由で、時間はかかっても大部分は吸収されます。実際はわずかながら吸収を抑える作用もあるようですが、これに関して過度な期待はできません。

トクホは個別に認可を受けている食品ですから、認可のない他のサプリメントと比較すれば安心して使用できるでしょう。しかし、あくまでも生活習慣を改めた上で適切に使用することが効果を出すための前提条件です。これを飲めば大丈夫!というような考えはせず、生活習慣も一緒に見直しましょう。なお、難消化性デキストリン商品は、食事と一緒に摂取することで初めてその効果を発揮します。

 

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トクホの効果を出すには、同時に生活習慣の改善も必要です。

蒸留酒は太らない?

更新日:2015年 06月 04日
by からだの中からフィットネス

夏間近! 冷たいビールが美味しい季節がまもなく到来します。しかし、太ることを気にして、ビールよりも糖質が入っていない蒸留酒(焼酎・ウィスキーなど)を好む方がいるようです。これは「アルコール自体は太らない。一緒に入っている糖質が太る原因である」という考えに基づいているようですが、蒸留酒であれば本当に太る原因にならないのでしょうか?

 

■「エンプティーカロリー」とは?

そもそも「アルコール自体は太らない」という認識が広まった要因のひとつに、アルコールのもつカロリーが「エンプティーカロリー」と言われることがあります。「エンプティー(empty)」は英語で「空っぽ」という意味ですから、ここから派生して、アルコールは「空っぽのカロリー」すなわち「カロリーがない(低い)」と捉えられえたようですが、それは誤解です。では、何が“空っぽ”なのでしょうか?

 

■栄養素とエネルギー

私たちが飲食しているもので、カロリーを持つ栄養素は3つです。

  • タンパク質(1gあたり4kcal)
  • 脂質(1gあたり9kcal)
  • 糖質(1gあたり4kcal)

これら3つをあわせて「エネルギー産生栄養素」と呼びます。エネルギー産生栄養素は、体内でエネルギーになるばかりではなく、筋肉や肌など、体を作る材料になったり、ホルモンや免疫に関わる物質を作ったりと、様々な働きがあります。栄養素は、健康な体を維持する上で必要不可欠なのです。

 

■アルコールは栄養素が空っぽ

一方で、アルコールは1gあたり7kcalのエネルギーがあります。このエネルギーは、前述の3つの栄養素と「エネルギーになる」という点では共通しますが、それ以外の機能はありません。

つまり「エンプティーカロリー」とは、「栄養素としての働きが空っぽ」という意味であり、決して「エネルギーが空っぽ」という意味ではありません。つまり、蒸留酒もビール同様、量によっては太る原因になります

 

■お酒は嗜好品~200kcal以内を目安に~

1日に摂取するエネルギーのうち、アルコールが占める割合が増えると、栄養素が十分に摂りづらくなります。お酒はあくまでも嗜好品です。大切な栄養素を補給するという観点から、お酒は1日200kcal以内に抑えることをお勧めします

※200kcalの目安
 ビール:500ml
 日本酒:1合
 ワイン:2杯
 焼酎水割り:2杯 

 

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きちんと栄養を摂るためには、お酒は1日200kcal以内を目安にしましょう。

ダイエットの"停滞期"とは?

更新日:2015年 05月 20日
by からだの中からフィットネス

5月も後半、薄着の季節に近づくこの時期は、ダイエット(ここでは「減量」の意味)に励む方も多いのではないでしょうか? ダイエットをすると、体重減少が非常に緩やかな状態、いわゆる「停滞期」が訪れますが、いったいどうしてなのでしょうか? そこには大きく2つの理由があります。

 

■理由その1:体の防御反応

一つ目の理由は、「ホメオスタシス」によるものです。人間の体は、体重を一定に保とうとするメカニズムが存在します。つまり、食事量を減らすと、減った食事からより多くのエネルギーを取り出せるように吸収率を上げたり、エネルギー消費量を下げたりして、減らした食事量でその体重を維持できるように適応します。

このように、体が省エネ状態に変化することにより停滞期が訪れます。

 

■理由その2:燃料チェンジ~糖質から脂質へ~

二つ目の理由は、エネルギー源が糖質中心から脂質中心に変わることによるものです。私たちの体に蓄積されている、エネルギー源となる栄養素は、糖質・脂質・タンパク質の3種類で、それぞれ1gあたり、4kcal・9kca・4kcalのエネルギーを持ちます。

各栄養素の特徴として、タンパク質は筋肉や細胞膜など体の組織を構成する一方、脂質と糖質はエネルギー源になるためにも貯蔵されています。つまり、正しくダイエットを行えば、減るとダメージになる筋肉や細胞からのタンパク質よりも、エネルギーとして貯蔵されている糖質、次いで脂質がエネルギー源として優位に使われます

例えば、100kcalのエネルギーを消費したとします。その時、糖質でそのエネルギーが減ったとすると、100÷4(糖質1gのエネルギー)=25gの糖質が体から減ります。脂質でそのエネルギーが減ったとすると、100÷9(脂質1gのエネルギー)=11gの脂質が体から減ります。これだけでも約2倍の重量差がありますね。

しかし、驚くのはこれからです。実は、糖質1gは水3gと結合する性質があるため、25gの糖質減少は、実質25×4=100g(糖質25g+水75g)の体重減少になります。計算上、糖質と脂質では、100kcalのエネルギー消費によって糖質なら100g、脂質なら11gと約10倍の体重の減り方の差が出てきます。

このように、糖質から脂質へとエネルギー源が切り替わると、同じ消費エネルギーであっても体重の減りが緩やかになるために停滞期が訪れるのです。

急激な体重変化は、往々にして体から水分が抜けることで起こります。数値的な変化が緩やかな停滞期にも、体の中では変化が起きています。ダイエットは焦らず無理なく進めましょう。

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停滞期でも体の中では変化が起きていますので、ダイエットは焦らず無理なく!

効果的な「酵素」の摂り方

更新日:2015年 05月 07日
by からだの中からフィットネス

最近、ダイエットやアンチエイジングなどで話題の「酵素」。サプリメントも多くの種類があり、取り入れている方も多いのではないでしょうか? 

 

■酵素とは?

「酵素」と聞くと特別な栄養素のように聞こえますが、実はその正体はタンパク質です。体内では必要に応じて合成と分解が絶えず行われており、「消化」と「代謝」を行うものに大別されます。

消化を行う酵素にも、代謝を行う酵素にも、数え切れないほど種類がありますが、特徴として

・すべての酵素がそれぞれ特有の役割を持っている
・機能できる場所(温度やphなどの環境)が決まっている

が挙げられます。

具体的には、例えば「ペプシン」という酵素は、タンパク質をアミノ酸に分解する役割があり、胃で機能します。つまり、何かの目的で酵素を補給するならば、その目的に適した種類の酵素を摂ること。さらには、その酵素を機能する場所まで到達させることが、効果を出すためのポイントといえます。

 

■口から酵素を摂るとどうなるの?

酵素はタンパク質でできていますから、魚や肉のタンパク質が、腸から吸収されるまでの間にアミノ酸に分解されるのと同様、口から入ってきた酵素もアミノ酸に分解されます。体内に吸収された酵素由来のアミノ酸からは、必ずしも再び酵素が作られるわけではなく、他のアミノ酸と一緒になって体を作る材料として利用されます。

酵素サプリメントには「加齢とともに不足してくる代謝酵素を補う」ことを目的にしたものを見かけますが、残念ながら口から酵素をとることと、体内にその酵素が増えることは直結しません

 

■酵素サプリメントの効果

酵素サプリメントに「体に不足する酵素を補充する」ということを期待するのは、科学的根拠に欠けます。しかし、酵素サプリメントの一部には乳酸菌や各種ビタミン類、食物繊維などの別の成分を含むものがあり、これらが何かの影響を与える可能性は考えられます。

また、酵素の中には大根に含まれるジアスターゼなど、食品の中に含まれていて消化を助ける働きをもつものがあります。ですから食事と共にこれらの酵素を摂ることで、栄養素の吸収率が上がる可能性もあるでしょう。

「効果があるかどうかは、酵素サプリメントを摂る目的と製品次第」といえそうですね。

 

昨今、いろいろな情報が溢れていますから、一歩引いた視点で客観的に情報を判断し、取捨選択できるとよいですね。

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酵素の中には大根に含まれるジアスターゼなど、食品の中に含まれていて消化を助ける働きをもつものがあります。

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