更新日:2015年 08月 25日
by からだの中からフィットネス
たんぱく質を表す英語「protein;プロテイン」は、ギリシャ語のプロテウス(第一の)が語源であり、大切な栄養素です。しかし、フィットネスシーンにおいては、たんぱく質を摂れば筋肉がつくと考えられる傾向が少なからずあり、もしかすると必要以上に摂っている方がいるかもしれません。ここで、改めてたんぱく質について見直しましょう。
■たんぱく質の必要量
どの栄養素をどれだけとればよいかという国の指針に「日本人の食事摂取基準」があります。これによると、特別な管理を必要としない健康な成人(※)は、体重1kgあたり0.9gのたんぱく質を摂取すれば、ほとんどの人が1日に必要な量を満たせるとあります。また、ACSM(アメリカスポーツ医学会)のガイドラインでは、ハードなトレーニングを積むアスリートであっても、体重1kgあたり2gを、必要な量の上限目安としています。
現在日本では、男性は1日約75g、女性は約60gのたんぱく質を摂取しており、多くの人が1日に必要な量を満たしていることになります。つまり、特別な食事をしなくても、通常の食事から必要な量のたんぱく質を確保することは十分に可能と言えます。
通常の食事に加えてプロテインを飲んだり、たんぱく質が豊富な食品ばかりを摂っていたりする方は、もしかするとたんぱく質の摂取過剰かもしれません。
※:妊産婦や授乳婦、疾病があるものを除く18~69歳の男女
■たんぱく質を摂りすぎると腎機能が低下する?
では、たんぱく質を取りすぎるとどのような事が起こりうるのでしょうか? よく言われることの一つに「たんぱく質を摂りすぎると腎臓を悪くする」があります。確かに、たんぱく質摂取量を増やした初期には、腎機能を表す検査数値が変化することがあります。しかし、中期的にみると、腎機能へ与える影響はほとんどないようです。
それよりも、たんぱく質を多く含む食品は同時に脂質も含むこと、たんぱく質自体もエネルギーをもつ栄養素であることから、エネルギーの摂取過剰になったり、他の栄養素とのバランスが崩れたりする可能性があります。長期間にわたり過剰なたんぱく質を摂取すれば、骨量の低下や糖尿病、心血管疾患になるリスクの増大なども懸念されます。
国では、たんぱく質の摂取量の上限を設けてはいませんが、エネルギー比率が20%を超えた場合の安全性は確認できないとして、注意を呼びかけています。
たんぱく質は栄養素の一種ですから、その他の栄養素とのバランスこそが、良い体を作る上で重要です。たんぱく質ばかりでなく、トレーニングの質を上げる糖質や、ホルモンの合成にも必要な脂質等の栄養素にも目を向けるようにしましょう。
体作りには、たんぱく質ばかりではなく、栄養のバランスが重要です。
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