更新日:2015年 05月 20日
by からだの中からフィットネス
5月も後半、薄着の季節に近づくこの時期は、ダイエット(ここでは「減量」の意味)に励む方も多いのではないでしょうか? ダイエットをすると、体重減少が非常に緩やかな状態、いわゆる「停滞期」が訪れますが、いったいどうしてなのでしょうか? そこには大きく2つの理由があります。
■理由その1:体の防御反応
一つ目の理由は、「ホメオスタシス」によるものです。人間の体は、体重を一定に保とうとするメカニズムが存在します。つまり、食事量を減らすと、減った食事からより多くのエネルギーを取り出せるように吸収率を上げたり、エネルギー消費量を下げたりして、減らした食事量でその体重を維持できるように適応します。
このように、体が省エネ状態に変化することにより停滞期が訪れます。
■理由その2:燃料チェンジ~糖質から脂質へ~
二つ目の理由は、エネルギー源が糖質中心から脂質中心に変わることによるものです。私たちの体に蓄積されている、エネルギー源となる栄養素は、糖質・脂質・タンパク質の3種類で、それぞれ1gあたり、4kcal・9kca・4kcalのエネルギーを持ちます。
各栄養素の特徴として、タンパク質は筋肉や細胞膜など体の組織を構成する一方、脂質と糖質はエネルギー源になるためにも貯蔵されています。つまり、正しくダイエットを行えば、減るとダメージになる筋肉や細胞からのタンパク質よりも、エネルギーとして貯蔵されている糖質、次いで脂質がエネルギー源として優位に使われます。
例えば、100kcalのエネルギーを消費したとします。その時、糖質でそのエネルギーが減ったとすると、100÷4(糖質1gのエネルギー)=25gの糖質が体から減ります。脂質でそのエネルギーが減ったとすると、100÷9(脂質1gのエネルギー)=11gの脂質が体から減ります。これだけでも約2倍の重量差がありますね。
しかし、驚くのはこれからです。実は、糖質1gは水3gと結合する性質があるため、25gの糖質減少は、実質25×4=100g(糖質25g+水75g)の体重減少になります。計算上、糖質と脂質では、100kcalのエネルギー消費によって糖質なら100g、脂質なら11gと約10倍の体重の減り方の差が出てきます。
このように、糖質から脂質へとエネルギー源が切り替わると、同じ消費エネルギーであっても体重の減りが緩やかになるために停滞期が訪れるのです。
急激な体重変化は、往々にして体から水分が抜けることで起こります。数値的な変化が緩やかな停滞期にも、体の中では変化が起きています。ダイエットは焦らず無理なく進めましょう。
停滞期でも体の中では変化が起きていますので、ダイエットは焦らず無理なく!
©2014 Japan Fitness Association.