フィットネスコラム

運動を行ってぐっすり春眠

更新日:2015年 03月 09日
by フィットネスの知っ得情報

春がぐっと近づいてきました! 「春眠暁を覚えず」。寒さも少しずつやわらぎ、夜もぐっすり眠ることができるようになりました。朝の目覚めも快適!

睡眠は、私たちの健康を守る上でとても重要です。しかしながら、寝つきが悪い、睡眠時間の不足、眠りが浅い、睡眠中に何度も目が覚めるなど、睡眠の質の低下を訴える人も少なくありません。

これまでの研究では、睡眠不足の人ほど体重増加が顕著で(1)、肥満や2型糖尿病の傾向が高いことが知られています(2)。最近の研究では、習慣的な睡眠が長い人では体格指数(BMI)が低く、糖質や脂質の摂取量も比較的低いことが示されています(3)

また、睡眠不足の人ほど運動量が低くなる傾向にあり(4)、これも体重増加や肥満の原因になっていると考えられます。「寝る子は育つ」とは昔から言われることですが、これが歪曲して「寝過ぎは太る」と誤解して認識されている場合も少なくありません。睡眠中はエネルギー代謝も抑えられカロリー消費量が少なくなり、起きている時間が長いほどダイエットに有効と考える向きもありますが、実際には睡眠時間が少ないほど食欲を過剰に高めて食事量が多くなり、カロリー摂取量が増えることによって結果的にエネルギーバランスがプラスとなって体重増加や肥満を引き起こしてしまいます(2)。しかも、睡眠不足によって脳の働きがより高カロリーの食品を欲するように、食行動そのものにも変化をもたらすことも示されています。

一方で、中強度(最大酸素摂取量の60%)の運動は、睡眠の質を高めることが示されています(5)。つまり、体重を維持して健康を守る上で重要となる睡眠は、運動によってその質が高まるのです。有酸素能力の高い人では、寝つきがよく、睡眠中の覚醒時間が短いことが示されています(6)

このように、運動と睡眠、それぞれを見ても健康維持には欠かせませんが、両者には有効な相互関係があるのです。運動をしっかり行ってぐっすり眠る。新年度に向けての健康・体力づくりのため、心地よいこの春こそ運動を行ってぐっすり眠りを確保するようにしましょう。

誰ですか、朝になったことにも気づかずにすっかり眠り込んでしまっている方は?

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運動と睡眠それぞれに、友好な相互関係があります。

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<参考文献>

1.St-OngeとShechter、2014年
2.Copinschiら、2014年
3.Dashtiら、2015年
4.ShechterとSt-Onge、2014年
5.WangとYoungstedt、2014年
6.Edingerら、1993年

フィットネスの知っ得情報

彦井浩孝

オレゴン州立大学健康人間科学研究科博士課程修了(Ph.D.)、NPO法人チャレンジ・アスリート・ファンデーション理事長、横浜市病院協会看護専門学校講師、Telacoya旅する小学校講師、トライアスロン歴34年。 子どもから大人まで、チャレンジスポーツを通じて、健康的な地域社会の発展に貢献していくことを目的に活動。地元神奈川県葉山町では「HAYAMANトライアスロン」などのチャレンジスポーツイベントを主催し、「葉山海洋スポーツ塾」「葉山ニッパーズ」では地域の子どもたちに運動スポーツ指導を行っている。また、がん啓発やがんサバイバーらのサポートを通じて、がん撲滅のための活動にも力を入れている。トライアスロン歴28年。アイアンマントライアスロン40回完走。2015年アイアンマントライアスロン世界選手権出場予定。

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