更新日:2015年 01月 06日
by フィットネスの知っ得情報
新年おめでとうございます。今年も充実したフィットネスライフを楽しみましょう! どうぞよろしくお願いいたします。
さて、お正月にテレビで箱根駅伝を観戦していました。今年も素晴らしいドラマがあったと思います。箱根の山を上って下る往路5区では、コースの過酷さもさることながら、極寒の環境による影響も大きく、最後まで走りきったものの、低体温症で救護された選手もいたようです。
寒い日のマラソンでは、完走率が低下することが知られています(1)。寒さは体から熱を奪い、体温を低下させてしまいます。通常、寒さの中でも運動によってエネルギー代謝が高まり、同時に熱も産生されるため体温は維持されますが、寒さの影響が深刻だと、さらに熱産生が必要となります。したがって、同じ運動でも気温の低い時のほうがエネルギー代謝は高く、酸素消費量も増えます。この酸素消費量の増加分は、熱の損失によって生じる体温の低下を防ぐため、寒さに対して反射的にからだを震わせるためのエネルギー産生に利用されます。
寒さは、関節の動きを硬くして運動効率を低下させ、さらにエネルギー消費を高めます。つまり、寒さの中の運動では、生理的負担がさらに高まることになるのです。また、運動により疲労すると、末梢の血管を収縮させて熱のロスを防ぐ機能が損なわれるため、熱損失が大きいことも知られています(2)。血糖やグリコーゲンなどの糖質の不足も、エネルギー代謝の維持に影響します(3)。したがって、万が一、疲労やエネルギー切れが起こり、これらの生理的な働きを維持することができなくなると、熱の産生が損失に追いつかなくなり、寒さに体温をどんどん奪われてしまうことになります。ひどい場合には低体温症にも陥ってしまうでしょう。
一方、寒さによる影響には個人差があり、フィットネスレベルや体脂肪量にも依存しています。たとえば、皮下脂肪量の多い人ではそれ自体が熱の損失を防ぐ役割を持つため、同じ運動でも生理的負担が比較的少なくなります。フィットネスレベルの高い人では、寒さの中でも早めにからだを震わせることによって熱生産を行うことができるため、寒さにも強いようです。
体温を維持するためには、衣類などでからだを温める工夫も必要です。加えて、寒い日に運動を行う際には、十分なウォームアップも欠かせません。筋肉が冷えると、柔軟性の低下を引き起こし障害が発生しやすくなります。この場合、静的なストレッチングのよりも、ウォーキングや動的なストレッチングを行うほうが有効です。
寒さに負けず、充実したフィットネスライフを送りましょう。
寒い日の運動では、服装やウォームアップで体温を維持する工夫をして、筋肉を冷やさないようにしましょう。
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<参考文献>
1.Roberts、2007年
2.Castellaniら、2001年
3.YoungとCastellani、2007年
©2014 Japan Fitness Association.