フィットネスコラム

お酒&エクササイズの組み合わせは計画的に

更新日:2014年 12月 22日
by フィットネスの知っ得情報

忘年会、クリスマス、新年会…、にぎやかで楽しい季節になりましたね。食べたり飲んだりする機会が多くなる一方で、エクササイズする機会は減って、体重はだんだん右肩上りに…。また、食べすぎ飲みすぎを覚悟して、事前にエクササイズを行っておけば“免罪符”になると考え、宴会の前に大急ぎでエクササイズしてから会場へ飛び込み、駆けつけ一杯などとやっている方もいらっしゃるのではないでしょうか!?

これまでの研究(1)では、健康な人(30-39歳)に30分間のエクササイズ(最大酸素摂取量の70%)を行ってもらい、同時に体重1kg当たり10mlのビールを飲んでもらった後での血中の尿酸値を測定したところ、血中の尿酸値は安静時と比べて29%も増加したことがわかりました。エクササイズかビール摂取のどちらかのみを行ってもらった場合の尿酸値が、安静時と比べてエクササイズ後で12%増加、ビール摂取後で8%増加だったようですから、エクササイズとビール単独では比較的尿酸値の増加は大きくないのですが、組み合わせると一気に増加率が大きくなるようです。

これは、エクササイズによる乳酸の生成が、尿酸の尿への排泄を妨げることが可能性として考えられています。ビールを飲んでお手洗いへ行っても、エクササイズ後では尿酸の排泄が妨げられるため、血中の尿酸値が高いままになってしまいます。宴会などの前のエクササイズは軽くすませるなど、注意が必要かもしれません。特に、尿酸値の気になる40歳以上の方は気をつけたいところです。

また、エクササイズ後の飲酒は胃の粘膜を荒らし、肝臓ではアルコールの処理に忙しく乳酸の除去が損なわれてしまいます。これは、栄養補給の遅れや血糖値の低下、また疲労蓄積の原因にもなりますのでやはり要注意です(2)

一方、習慣的なアルコール摂取は酸化ストレスを高め、糖質や脂質の代謝を低下させ低血糖を引き起こしやすくしますが、習慣的なエクササイズにはこれらの悪影響を軽減する効果があるようです(3)。また、エクササイズには、脂肪消費を促進し、食後の血中の中性脂肪値の増加を抑える効果もありますので、お酒を飲む人はやはりエクササイズ習慣を維持することが大切です。

 

つきあいの多くなるこの季節、エクササイズとお酒を飲む機会ともうまくつきあって、計画的に健康的に過ごすことが一番ですね。

ビール.jpg

宴会などの前のエクササイズは軽くすませましょう。特に、尿酸値の気になる40歳以上の方は要注意です。

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<参考文献>

1.Kaら、2003年
2.Haugvadら、2014年
3.Pestaら、2013年

フィットネスの知っ得情報

彦井浩孝

オレゴン州立大学健康人間科学研究科博士課程修了(Ph.D.)、NPO法人チャレンジ・アスリート・ファンデーション理事長、横浜市病院協会看護専門学校講師、Telacoya旅する小学校講師、トライアスロン歴34年。 子どもから大人まで、チャレンジスポーツを通じて、健康的な地域社会の発展に貢献していくことを目的に活動。地元神奈川県葉山町では「HAYAMANトライアスロン」などのチャレンジスポーツイベントを主催し、「葉山海洋スポーツ塾」「葉山ニッパーズ」では地域の子どもたちに運動スポーツ指導を行っている。また、がん啓発やがんサバイバーらのサポートを通じて、がん撲滅のための活動にも力を入れている。トライアスロン歴28年。アイアンマントライアスロン40回完走。2015年アイアンマントライアスロン世界選手権出場予定。

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