2016年 08月 02日
JAFA機関誌『ヘルスネットワーク』にリレー連載中の「運動処方に基づいたフィットネス指導」は、世界的に認知されているACSM(アメリカスポーツ医学会)のガイドラインを、EP-C(エクササイズフィジオロジスト)の方々がわかりやすく解説しているコーナーです。
以下に、今月号(2016年8月号p6-7「第5回 エネルギー計算をやってみよう!~ウォーキングとジョギング~(著者:小野寺 由美子)」)のケーススタディの、解答と解説を掲載します。
■ケーススタディ1
体重60kgの人が3METsの早歩きを30分行った時のエネルギー消費量は?
<厚生労働省の式>
エネルギー消費量(kcal/分)=METs×時間(時)×体重(kg)
=3×0.5×60
=90 kcal
※ポイント:時間は分ではなく時を用いる
答え 90kcal
<ACSMの式>
エネルギー消費量(kcal/分)=METs×3.5(mℓ/kg/分)×体重(kg)÷200(kcal/mℓ)
=3×3.5×60÷200
=3.15kcal/分
上記は1分間あたりのエネルギー消費量であるため、実施した時間30分を掛ける
30分でのエネルギー消費量(kcal)=3.15 kcal/分×30分
=94.5kcal
答え 94.5kcal
解説1:厚生労働省の式で1.05用いると、答えは同じ94.5kcalとなります。
■ケーススタディ2
体重60kgの人が分速70m/分で10分歩いた時のエネルギー消費量は?
※解答と解説は、本誌に掲載しています。
■ケーススタディ3
体重80kgの人の減量計画を立てるため、運動による(正味の)エネルギー消費量を求めたい。時速8.1km/時で5%の上り坂を20分ジョギングする場合の運動によるエネルギー消費量は?
酸素摂取量(ml/kg/分)=3.5(ml/kg/分)+0.2(ml/kg/分)×速度(m/分)+0.9(ml/kg/分)×速度(m/分)×勾配
=3.5+0.2×(8100m÷60分)+0.9×(8100m÷60分)×0.05
=3.5+28
=31.5 ml/kg/分
※ポイント:
・時速(km/時)を分速(m/分)にする
・勾配は%表示の場合100で除した値にする
運動によるエネルギー消費量を求めるため、安静時の酸素摂取量を引く
運動による正味の酸素摂取量(ml/kg/分)=総酸素摂取量(ml/kg/分)-安静時酸素摂取量(ml/kg/分)
=31.5-3.5
=28 ml/kg/分
エネルギー消費量(kcal/分)=酸素摂取量(ml/kg/分)×体重(kg)×5(kcal/ℓ)÷1000ml/ℓ
=28×60÷200
=8.4 kcal/分
上記は1分間あたりのエネルギー消費量であるため実施した時間20分を掛ける
30分でのエネルギー消費量(kcal)=8.4 kcal/分×20分
=168kcal
答え 168kcal
解説3:減量計画では、付加するエネルギー消費量(運動による正味のエネルギー消費量)から実施頻度や期間を決定するため、安静時を引いて計算します。
©2014 Japan Fitness Association.