2015年 08月 31日
JAFA機関誌『ヘルスネットワーク』に連載中の「科学的事実に基づく介護予防のための運動」(筆者:西端泉)は、加速する超高齢社会において、介護を必要としないための運動方法を解説するコーナーです。
以下に、今月号(2015年9月号p16「第6回 糖尿病を予防する運動」)の確認問題の、解答と解説を掲載します。
問題1
糖尿病を有する人に対して運動指導する際の条件は、どれか。
正解はc
糖尿病を有する人が運動すると、健康な人以上に、運動中に医学的な問題を起こす可能性が高いので、必ず医学的に病状を確認してもらったうえで、医師の指示に従って運動してもらう必要があります。実際は、きちんと通院している人では、必ず医師から運動に関する指示が出ているはずなので、その指示に従って運動してもらえば問題はないはずです。ただし、顧客によっては、医師の指示が十分に理解できない人がいたり、インスリン注射や糖尿病治療薬を飲むのがいやで、医師の指示以上の強度、ないしは量の運動を行おうとする人がいたりするので、健康づくり運動の指導者としても、糖尿病の運動療法について十分に理解している必要があります。なお、選択肢のdのように、医師が直接的に患者の運動指導することはまずなく、医師は患者に運動実施の指示を与えたり、運動療法の処方せんを書いたりします。
問題2
糖尿病を予防したり、改善したりするために適した有酸素運動の強度はどれか。
正解はb
1型の糖尿病の原因は生活習慣ではないので、運動は予防に役立たないと思われます。しかし、糖尿病患者の約95%は生活習慣である2型糖尿病なので、運動は糖尿病の予防に役立つといってよいでしょう。予防上最も重要なのは肥満の予防や解消です。前回解説したように、減量上、運動は中等度以上の強度が必要です。治療上は、体内の糖質を効率良く(短時間に)消費するためには、強度は高いほど有利です。しかし、強度が高すぎて身体的・精神的なストレスになるとストレスホルモンが分泌され、これが血糖値を上昇させるので、高強度の運動は避ける必要があります。以上を総合して判断すると、最も適した強度は中等度になります。
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