更新日:2015年 09月 07日
by からだの中からフィットネス
プロアスリートの中では言わずと知れた「クレアチン」は、運動能力に対するある種の効果がエビデンスとして蓄積されている、数少ないサプリメントのひとつです。今回は「クレアチン」の働きとそのメカニズム、摂取方法について解説します。
■「クレアチン」とは?
クレアチンはアミノ酸の一種で、体内でも1日2gほど合成されています。体内のクレアチンの95%は、筋肉にリン酸と結合した「クレアチンリン酸」という形で蓄えられています。クレアチンサプリメントを摂取することで期待できる効果には
1.高強度の運動、特に短期間での激しい運動を繰り返すような運動におけるパフォーマンスの向上(例えばタバタプロトコルを利用した運動や、高負荷での筋力トレーニング)※有酸素運動能力向上の効果はないようです。
2.1のようなトレーニングを実施する際の、回復力の向上
3.体重増加(中長期的に見ると筋肉量)
の3つが挙げられます。
■クレアチンの働き方
クレアチンが作用するメカニズムは大きく3つあります。
1.筋収縮に必要な「ATP」という物質をすばやく再生することで、エネルギー供給をスムーズに行う。
2.運動中に生じる酸性物質(水素イオンや乳酸)を緩衝したり合成しにくくしたりすることで、疲労の原因とも言える筋肉が酸性に傾くことを防ぐ。
3.筋肉中に水分を貯留する。
このほかに、メカニズムは定かではありませんが、クレアチン自体にたんぱく質の合成を高め、分解を抑制する効果があるようです。また、トレーニングの質が向上するので、間接的な効果として筋量の増加が期待できます。
■クレアチンの摂取方法
1回5gを1日4回に分けて6日間摂取することで、筋肉に蓄えられる量の上限に近づきます。この方法でお腹が緩くなったり、体調に変化を来たす場合は、1日3gを28日間にわたり摂取することで、同様の結果に導くことも可能です。
また、糖類とともに摂取すると、インシュリンがクレアチンを筋肉に運び入れる手助けをするので、効率よく筋肉に蓄積することができます。一度上限量に達した後は、1日2~3gを目安に補給すれば、その状態をキープできます。
なお、クレアチンの効果を体感できるのは、もともとの蓄積量より一定量(20mmol/kg d.w)以上増加した場合といわれています。普段の運動量や遺伝的な要因、食事などによっては、元々多くのクレアチンを筋に蓄えている、もしくは蓄積しにくい等の理由から効果を感じられない人が約30%いるようです。
安全性については、健康な人が適量を摂取する場合には健康障害のリスクは比較的低いとされています。しかし、腎臓や肝臓に影響を与えうる成分なので、大量摂取は控え、もし病気(特に腎疾患、肝疾患、糖尿病)やその他の懸念事項がある場合は、必ず専門の医師に相談をしてから摂取しましょう。
クレアチンは魚や赤身肉に多く含まれます。
©2014 Japan Fitness Association.